「almedahls(アルメダールス)」/ スウェーデン
 アルテックは1935年、アルヴァ・アアルト、アイノ・アアルト、マイレ・グリクセン、ニルス=グスタフ・ハールの4人の若者により「家具を販売するだけではなく、展示会や啓蒙活動によってモダニズム文化を促進すること」を目的に、ヘルシンキで設立されました。 アルテックという社名は「アート(芸術)」と「テクノロジー(技術)」という1920年代に沸き起こった国際的なモダニズム運動のキーワードを掛け合わせた造語です。モダニズムが目指したのはこれら2つの領域を融合させ、新たな実を結ぶことでした。テクノロジーはアートを取り入れることで洗練されたものとなり、アートはテクノロジーの力で機能的で実用的なものになると信じていました。アルテックの創業者たちも同じ思いを社名に込めたのです。 創業者の精神を受け継ぎ、アルテックは今日でもデザイン、アート、建築の交点に立ち、未来への道を切り開き続けています。



 「デザイナー:アルヴァ・アアルト」

 最も影響力を持った20世紀の建築家の一人であり、建築評論家のジーグフリート・ギーディオンが「北欧の賢人」と例えたアルヴァ・アアルト(1898-1976)は、フィンランドのクオルタネに生まれました。生涯、アアルトは200を超える建物を設計し、そのどれもが有機的なフォルム、素材、そして光の組み合わせが絶妙な名作として知られています。建築は家具と補完し合うものと考えていたアルヴァ・アアルトは、自身が設計した建築に合わせておのずと家具のデザインも手掛けることになります。1931 - 32 年、パイミオのサナトリウムのために開発した最初の家具デザインは世界的な注目を集め、1935年、アルヴァ・アアルトとアイノ・アアルトがデザインする家具、照明器具、テキスタイルを世界的に販売することを目的にアルテックを創業しました。アルヴァ・アアルトが生み出した有機的なフォルムは、のちの建築家の手本となり、彼のデザインした家具やガラスアイテムは北欧デザインが世界に広まる上で大きな役割を果たしました。建築家としてだけではなく、プロダクトデザイナーとしても高い評価を得たアアルトのプロダクトは、合理性を考えたパーツのスタンダード化、新しい曲げ木の技法の開発など、量産を念頭に置いた先進的な考えが取り込まれていました。

 「デザイナー:ロナン&エルワン・ブルレック」

 パリを拠点とするデザイナー、ロナン・ブルレック(1976 - )とエルワン・ブルレック(1971 - )は、さまざまな企業とともに、挑戦的で実りの多いコラボレーションを生み出しながら、20年以上に渡り活躍し続けています。彼らの仕事は、空間や家具、テキスタイルのデザインから建築プロジェクトまで多岐に渡ります。彼らがデザインプロセスにおいて大切にしていることは、手書きによるスケッチ、模型作成、それを魅力的なイメージで発信することです。彼らのノートブックには、幻想的な生き物、自然の情景や抽象的なイメージで満たされ、それらが彼ら独自のユーモアあるデザインの源になっています。ロナン&エルワン・ブルレックは、2015年にアルテックとともに<カアリ>シリーズ、2017年にはテキスタイルデザイン<リヴィ>シリーズを発表しています。

 「デザイナー:アイノ・アアルト」

 建築家でありデザイナー、アイノ・アアルト(1894-1949)は、1884年にヘルシンキで生まれました。1920年にヘルシンキ工科大学を卒業した後、当時ヘルシンキの建築界で名門と謳われていたオイヴァ・カッリオの事務所に勤めます。1924年より建築家としてアルヴァ・アアルトの建築事務所に勤め、それから長い年月、彼とともに同事務所を率いながら、アルテックの創業と発展に主導的な役割を果たしました。彼らの関わった多くの建築やプロダクトは、歴史の流れの中で、アルヴァ・アアルトの作品として名を成しましたが、アイノ・アアルトが1949年に早すぎる死を迎えるまで、アルヴァ・アアルトとアイノ・アアルトはあくまで対等な立場として、パイミオのサナトリウム、サヴォイレストラン、マイレア邸や、アルテックストアなど、数々のプロジェクトに携わり、アイノ・アアルトが内装デザインを担当しました。1935年、アルテックが創業し、初代アートディレクターに、1941年からは社長に就任します。アイノ・アアルトは、アルヴァ・アアルトと同様に、稀に見る優れた建築家でありデザイナーでした。そしてモダニズムの思想を広め、世界を変えたいという強い想いを持ち続けた先鋭的な思想家でもあったのです。

デザイナー 深澤 直人(FUKASAWA NAOTO)/1956-

深澤 直人(FUKASAWA NAOTO)/1956-

山梨県出身のプロダクトデザイナー。多摩美術大学プロダクトデザイン科卒業。1989年渡米しデザインコンサルティング会社IDEO(サンフランシスコ)で8年勤務後帰国、IDEO東京支社を設立。2003年に独立しNaoto Fukasawa Design設立。
2002年度毎日デザイン賞ほか、国内外でデザイン賞を受賞している。
デザインとは人が強く意識せず自然にそこに存在するということをコンセプトに、シンプルで美しく人に優しい作品をデザインしている。

artekから世界中で活躍する深沢直人さんのデザインのShelving System。 無駄のないシンプルなフォルムは、深沢直人さんらしいデザイン。
artek社の代表作である、アルヴァ・アアルトの60スツールからインスパイアされてデザインしたシェルフはアアルトレッグの断面を連想させるフレームに白の棚板を置いた、どんな空間にも馴染むシンプルでいて洗練されたデザインに仕上がっています。